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オーストラリア大陸縦断鉄道の開通に沸くノーザン・テリトリー
【2004年2月21日】


2004年2月3日、オーストラリア大陸の真ん中を縦断する旅客列車第1号が、NT(ノーザン・テリトリー=北部準州)の州都ダーウィンに到着した。出発地点のSA州アデレードから2泊3日、2979キロの豪華列車の旅は、オーストラリア国内はもちろん、世界的にも注目を集め、BBCやナショナル・ジオグラフィック誌などの各国著名メディアの関係者に混じって、日本の報道陣も来ていたから、ニュースなどでご覧になった方もいるだろう。

The Ghan
「ザ・ガン」という名前は、内陸に物資やニュースを届ける役目を担っていたアフガニスタン産のラクダ(Afghan camel)に由来している。過酷な自然と共に暮らすアウトバックの人々にとって、ラクダはかつてライフラインともいえる重要な役割を果たしていた。
大陸横断鉄道はあっても(オーストラリアにもシドニー〜パース間を3泊4日で結ぶ「インディアン・パシフィック」がある)、大陸縦断鉄道というのは事実上これが世界初。その構想が生まれたのは、今をさかのぼること146年前というから、実現までに世界一時間がかかった列車ではないだろうか。「陸の孤島」だった大陸中央の町スチュワート(現アリス・スプリングス)とアデレードを結ぶ列車「ザ・ガン」が走ったのは、1929年のことで、それから75年の時を経て、ようやく全線開通にこぎつけたことになる。

NTは、日本の3.5倍以上の面積があるが、人口は20万人にも満たず、人口密度(人/km2)はたった0.15人。「世界一人口密度が低い草原の国モンゴルの10分の1未満の人口密度」といえば、この土地を縦断する列車の意味が分かってもらえるだろうか?

トップ・エンドと呼ばれる北部地域への「夢の列車誕生!」の歴史的瞬間を見るために、各停車駅はもちろんのこと、一瞬で電車が通り過ぎてしまう沿線にも人々が集まり。それぞれのやり方でお祝いをしていたのが、何だか微笑ましい。中には、初めて電車を見た人もいたようだが、機関車2両プラス43車両で編成された全長1キロ余りの大陸縦断第1号列車は、彼らの目にどのように映ったのだろうか。

「ザ・ガン」は、アデレード〜アリス・スプリングス〜ダーウィン間を週1回のスケジュールで往復するのに加え、これまで同様、南半分のアデレード〜アリス・スプリングス間を週1回往復する便もある。シドニーから電車を利用する場合は、「インディアン・パシフィック」でアデレードまで行って、そこで乗り換えができるようになっている。

新路線のチケットの売上は上々で、3割が海外からの旅行客だそうだ。シドニーやメルボルンなどの美しい都市や、グレート・バリア・リーフをはじめとする青い海だけでなく、「アウトバックの赤土の荒野もまたオーストラリア」ということを体感するには、もってこいの交通手段である。

◆「ザ・ガン」(運行はグレート・サザン・レールウェイ
問い合わせ先: 13-2147(オーストラリア国内から)または、08-8213-4592

■片道料金


ゴールド・カンガルー
(寝台)
レッド・カンガルー
(寝台)
レッド・カンガルー
(座席)
アデレード〜ダーウィン
$1740
$1390
$440
アデレード〜アリス・スプリングス
$850
$680
$215
アリス・スプリングス〜ダーウィン
$1100
$880
$240
[学生割引(国際学生証要)、YHA/バックパッカー用割引&鉄道パス(座席)もあり]

■スケジュール(アデレード〜アリス・スプリングス間)

<北行き>
アデレード

日曜17:15発
アリス・スプリングス
月曜11:55着
16:10発
キャサリン
火曜08:00着
12:10発
ダーウィン
火曜16:00着


<南行き>
ダーウィン

水曜10:00発
キャサリン
水曜13:40着
17:50発
アリス・スプリングス
木曜9:20着
14:00発
アデレード
金曜09:00着



※料金、スケジュールは予告なく変更されることがあります。

(「地球の歩き方」ホームページ・シドニー特派員レポート掲載)