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オーストラリア発!現代版シンデレラ物語
【2004年5月20日】

5月14日、タスマニア州出身のメアリー・ドナルドソンさんが、デンマークのフレデリック皇太子とコペンハーゲンで結婚式を挙げた。オーストラリアの元首は今でもエリザベス女王だが、オージーの王室入りは初めてのこと。しかも、メアリー妃は、ごくフツウの家庭に育った民間人。子どもの頃の夢は獣医になることで、高校時代はホッケー部のキャプテンを務め、大学卒業後はメルボルンの広告会社やシドニーの不動産会社などで働いていた。シドニーではボンダイのユニットで暮らし、「写真を撮られるのは苦手なんだけど、慣れなくちゃね……」とはにかんでいたシンデレラ・ガールのロイヤル・ウェディングに、オーストラリアは大いに沸いた。

Slip Innそもそも、2人の運命の出逢いは2000年のシドニー・オリンピック。世界各国の有名人と同じようにシドニーに短期滞在中だったフレデリック皇太子が、シドニー市内のパブを訪れたとき、未来の皇太子妃に「フレッド」と自己紹介したのが馴れ初めだとか。その場には、今月22日に結婚するスペインのフェリペ皇太子もいたというウワサ……。

舞台となったパブは、ダーリング・ハーバーに程近いシティ中心部にあるスリップ・イン(Slip Inn)。「クラブ」や「バー」で知り合った、という報道があるのは、中がいくつかのセクションに分かれているため。「サンド・バー」や「チャイニーズ・ランドリー」「ケーヴ」は、シドニーっ子が週末の夜中に繰り出す人気ナイト・スポットで、メイン・バーの「スリップ・バー」やアウトドアの「ガーデン・バー」は、平日のランチ時にもオープンしている。過去に有名人が目撃されたことも稀にあったものの、「ヒップでクール!だけど、フレンドリー」と一般人(?)が集うポピュラーな場所だけに、「あそこなの〜!?」と驚いたローカルも少なくなかったはず。

婚約発表後には、"Crown Prince of Denmark"と名づけられた新カクテルが登場し、ロイヤル・カップルのロマンスが生まれた場所を見にやってくる人、特にデンマーク人が急増したらしい。結婚式当日には、デンマークのパスポートを持参した人に、カールスバーグが無料で振る舞われ、デンマーク領事館からは、デンマーク産チーズが差し入れられたそう。ちなみに、スリップ・インの今月のテーマは、"Meet Your Prince at the Slip" である。確かにここで出逢ったカップルって、シドニーには結構いるんだろうけど……。

▼Slip Inn
  住所:  111 Sussex St., Sydney
 電話番号: 02-8297-7000
 営業時間:

  <ガーデン・バー> 月〜金曜12:00〜深夜 土曜18:00〜深夜
  <スリップ・バー> 月〜金曜12:00〜深夜 土曜17:30〜翌2:00
  <サンド・バー> 木・金曜17:30〜深夜 土曜21:00〜深夜
  <チャイニーズ・ガーデン&ケーブ> 金・土曜23:00〜翌4:00

(「地球の歩き方」ホームページ・シドニー特派員レポート掲載)

異国の民間人をあっさりと迎え入れるデンマーク王室は、ウワサ通り世界一開かれた王室に違いない。それでも苦労はたくさんあるだろうが、「身分の差」にとらわれないロイヤル・カップルの行く末は、おとぎ話のように「お姫さまは王子さまと末永く幸せに暮らしました……」であってほしい。結婚前の微笑ましいエピソード――オーストラリアを訪れたフレデリック皇太子がメアリー妃の住んでいた小さなユニットに泊まったとか、ハードウェア・ショップでバーベキュー台を10台購入してコペンハーゲンに送ったとか――がホントなら心配はいらないのかもしれないけれど。