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現金持ち込みの申告漏れトラブル増加中
【2003年4月9日】

食べ物や医薬品の持ち込み規制が厳しいことは、よ〜く知られているオーストラリアだが、最近増えている入国時のトラブルが現金持ち込みの申告漏れ。持ち込める金額に制限はないものの、合計1万ドル以上に相当する現金を持っている場合は、申告が義務付けられているのだ。これは、出国する際に現金を持ち出す場合も同様。

入国カードは税関・検疫申告書を兼ねていて、「下記の物品をオーストラリアに持ち込もうとしていますか?」という質問には、9項目が挙げられている。それぞれ「はい」か「いいえ」にチェックを入れて答えるのだが、その中に「豪ドルまたは外貨で合計AUD$10,000相当以上」という項目がちゃんと入っているのだ。

日本円など外貨は、出入国日の為替レートが適用される。大金は持っていないから、と換算もしないで「いいえ」にチェックする人もいるが、最近のレートだと、1万ドルはたった約70〜80万円。たとえ不注意で申告が漏れた場合でも処罰の対象となるから、注意が必要だ。虚偽の申告が見つかり、所持金の一部または全部を没収され、身柄を拘束されるケースも増えている。

日本の某漫画家も、鶏のから揚げ弁当がひっかかり、その後の所持品検査で羽ペンが没収され、さらに身体検査で現金の申告漏れを指摘されたとか……。これって、ものすご〜く心証が悪い。

オーストラリアの税関・検疫で「ウソつき」呼ばわりされた、と怒る人がいるが、申告書には「事実であり、正確であり、完全なものであることを誓います」なんていう誓約文が入っている。食品であれ、現金であれ、「いいえ」と答えて、サインすることの重みをよく考えたほうがいい。

海外で多額の現金を持ち歩くのは、紛失や盗難のリスクも高い。トラベラーズ・チェック、クレジットカード、国際キャッシュカードなど、現金以外の手段を組み合わせるのが、賢明なやり方だ。駐在員や学生、ワーキング・ホリデー・メーカーなど、まとまった生活資金が必要になる長期滞在者は、国際送金や送金小切手などを利用した方がレート面でも有利になる。「キャッシュが一番」という現金主義者は、入出国時に手持ちの現金が1万ドルを超えていたら、正直に申告をするのが身のためだ。

Australian Customs Service

(「地球の歩き方」ホームページ・シドニー特派員レポート掲載)