■ピンク・リボン・デー
【2007年10月20日】
毎年10月の第4月曜日は、オーストラリアのピンク・リボン・デー。乳がん啓蒙と、その研究や教育プログラム、支援サービスのための資金調達を目的に、1994年からスタートした年中行事で、国際的にも10月は乳がん啓蒙月間となっています。
シンボルであるピンクリボンの発祥の地は、アメリカ。乳がんで亡くなった女性の母親が、「悲しみが繰り返されないように」と願いながら孫に渡したのがピンクリボンだっと言われています。今では、乳がんに対する意識向上や、検診率を上げるためのピンクリボン活動が世界規模で展開されるようになり、日本でも年々キャンペーンが活発になってきているので、ご存じの方もたくさんいらっしゃるでしょう。
オーソドックスなサポート方法は、乳がん基金のピンクリボン($2)やリストバンド($3)を購入することで、協賛するデパートやショップのほか、銀行や薬局などでも扱っています。
最近注目されているのが、モノを買うとその一部が販売元の協賛企業から関係機関に募金されるというもの。この時期はあらゆる“ピンク商品”が登場し、昨年はピンク色の新聞や電球まで出回りました。
見た目にもかわいいピンク色のデザインをあしらった限定版商品が、サポートの輪の広がりにつながっています。今年話題を呼んでいるのは、ネスレ社のキットカットのストロベリー味。目標募金額は10万ドルだそうです。普段からお土産として大人気のティムタムも、昨年に引き続き“Pink Wish”と銘打ったストロベリー味ヴァージョンを販売し、購入すると自動的に10セントが乳がん基金に募金される仕組みになっています。こういった食料品や日常品なら、旅行者の方も気軽に協力できますね。
ただし、この時期は便乗を狙ってなのか、まったく関係のないピンク色パッケージの商品が目立つようにディスプレイされていたりもするので要注意。活動を支援するつもりで購入するなら、その募金先と金額くらいはチェックしたいものです。
オーストラリアでは、女性が85歳までに乳がんにかかる確率は8〜9人に1人と試算されており、国の乳がん検診プログラムでは、最も大きな利益を受けることが判明している40歳以上の女性が無料で受診可能となっています。今月初旬に発表された新たな調査結果によると、発見時に腫瘍の大きさが10ミリ以下の乳がん患者の5年後の生存率はほぼ100%。早期発見がカギであることは間違いありません。
実は、無料検診対象外のわたしも、今年初めてマンモグラフィーとエコー(超音波)による乳がん検診を受けました。マンモグラフィーはちょっぴり痛かったし、躊躇する気持ちもよ〜く分かります。が、30歳以上の日本人女性の死亡原因のトップが乳がんであることは事実。「自分はダイジョウブ」だなんて根拠のない思いこみは捨てて、ほんの少し勇気を出して検診に行かれることをおすすめします。
オーストラリアでは、人気テレビ番組で活躍した女優のベリンダ・エメットさんが8年間の闘病生活の末に、乳がんで亡くなったことが昨年大きなニュースになりました。あれからもうすぐ1年になりますが、病気の発覚後に知り合い、結婚からたった1年10ヵ月で32歳の妻を失った大人気コメディアンのロヴ・マクマナスさんの悲しみにくれる姿が今でも忘れられません。
世の男性のみなさんも不必要な悲しみを味わうことのないよう、愛する女性の背中をそっと押してあげてくださいね!
(「地球の歩き方」オーストラリア・シドニー特派員ブログ掲載)
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