■2008年ワールド・ユース・デー シドニー大会
【2008年7月7日】
2000年シドニー・オリンピッックを超えるオーストラリア史上最大規模のイヴェント……という触れ込みの「2008年ワールド・ユース・デー シドニー大会(World Youth Day Sydney 2008)」が、今月15日(火)から20日(日)までシドニー市内及び近郊で開催されます。
ワールド・ユース・デーは、日本語にすると「世界青年の日」。日本人にはあまり馴染みがありませんが、2〜3年ごとに開催されている青年カトリック教徒のための祭典で、若者向けの国際イヴェントとしては、世界最多の動員数と言われています。
(c)WYD 2008
オーストラリアでの開催は今回が初めて。ローマ法王ベネディクト16世が初来豪するとあって、国内各地からカトリック信者が集結するのに加え、各日約12万5,000人の海外巡礼者が各種式典やイヴェントに参加すると見込まれ、さらに報道関係者数千人が来豪するそうです。
開催期間中及び前後数日は、セント・メアリーズ大聖堂やジョージ・ストリート付近を中心に、大規模な交通規制が実施され、シドニーを縦横断する徒歩巡礼が行われる19日には、巡礼ルートのひとつに含まれるハーバー・ブリッジも通行止めとなります。
無用な混乱を避けるために、市内で働いている人に対しては、休暇取得や在宅勤務が呼びかけられているのが、何ともオーストラリアらしい話。昨年のAPEC時期同様、郊外への脱出組も少なくなさそうです。
人口の4人に1人がカトリック教徒とはいえ、多民族国家のオーストラリアではさまざまな宗教が信仰されていますから、そのうちのひとつの宗教の祭典に多額の税金が使われ、市民生活に多大な影響を及ぼすことに対して議論がないわけでもないのですが、一般の旅行者には思わぬ恩恵もあるのです。
過去にない規模の大イヴェントなんだから満室間違いなし、と予想したシドニー市内のホテルは、ワールド・ユース・デー開催中の宿泊料金を普段より高く設定していたところが多かったのですが、フタをあけてみると、期間中の平均客室利用率は全体で30%前後と例年の4割ほど。稼働率を上げるために、高級ホテルも値下げに踏み切っているので、この時期シドニーに滞在される一般旅行者の方は、アップグレードを検討してみてはいかがでしょうか?
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7月末頃までは、特別割引料金やサービスを提供しているアトラクションやレストランなどもたくさんあります(一部登録やID要)。
ホテル不振の原因は、一般の旅行者がこの時期を避けただけでなく、巡礼者の大半が学校や教区の施設に泊まったり、ホームステイするため。7日間の宿泊や食事と交通費、それから保険、ビザをセットにした手頃な巡礼パッケージも用意されていて、各国の所得水準及び地域によって、A$50、A$140、A$245、A$395の四段階に分かれた料金設定になっています。
(c)WYD 2008
巡礼グッズなるものも飛ぶように売れたようで、公式サイトからリンクされているショップで発売されているペグ不要の一人用テントや寝袋、マットなどは、続々と売り切れになっていました。……というのも、ワールド・ユース・デーの最後のミサの前夜は、星空の下で過ごすのもごくフツウのことなのだそうです。
19日の夕の祈りと翌20日の教皇ミサが行われるのは、40万人収容可能なランドウィック競馬場(←600頭以上の馬はすでに避難済み……)。近くのセンテニアル・パークと合わせて最大60万人まで参加できるように、万全の態勢が整えられています。シドニーは冬真っ盛りですが、どうやら野宿者数の最高記録更新は間違いなさそうですね。
(「地球の歩き方」オーストラリア・シドニー特派員ブログ掲載) |