■ユールフェスト
【2001年6月30日】
冬至を過ぎて、少しずつ日が長くなっているとはいうものの、冬真っ最中のシドニー。シティから車で西に約2時間のところにあるブルーマウンテンズでは「ユールフェスト
Yulefest (Yule=クリスマス、Fest=祭)」が開催されている。ホテルのロビーにはツリーが飾られ、レストランではキャロルが流れたり、サンタが登場したりする。
「クリスマス用の食事を用意してもらえないだろうか?」
冷たい風が吹く中、積もりはじめた雪を見て、故国の冬を懐かしんだアイルランド人観光客が、滞在中のホテルでそう頼んだのがこのフェスティバルの始まり。20年以上前のことだ。翌日の食事に大満足したそのグループは翌年も半年早いクリスマスを堪能するために戻ってきたのだとか。
そのうちに、ほかのゲストハウスやホテル、レストランでも、メイン料理にはクランベリーソースをかけ詰め物をしたターキー、デザートにはプディング、といった伝統的なクリスマスディナーを用意するようになった。
「6月にクリスマス?」と言うなかれ。真夏のじりじりとした太陽の下で陽気に祝うのがホントのオーストラリアのクリスマスだけれど、暖炉の前が心地よい今の季節のほうがうんと雰囲気があることは確かなのだから。
ブルーマウンテンズは国立公園に指定されており、昨年ユネスコの世界遺産にも登録された。名前の由来は、ユーカリの木から発散される油分が太陽の光に反射して山が青く霞んで見えるから。キャッチフレーズ「Come
Up for Air」の通り、澄んだ新鮮な空気と、峡谷や滝など変化に富んだ地形がウリだ。
観光客の多くが、ルーラの街やエコーポイント展望台、シーニックワールドなど、賑わった一部の場所を訪れる1日、または半日のツアーに参加するが、この地区には26の町と村があり、展望台やブッシュウォーキングのコースもたくさんあるのだ。ここまで来て、夕暮れ時の幻想的な光景や満天の星空を見ないなんてもったいない! できれば1泊することをおすすめする。
ブルーマウンテンズ・オフィシャルサイト
(「地球の歩き方」ホームページ・シドニー特派員レポート掲載)
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