9月15日、ついに待望の開会式が行われた。前日の聖火リレーには市内中心部の沿道に100万人もの人が押し寄せ、直前までクールに振る舞っていた人にもオリンピック熱がとうとう感染した模様だ。
開会式は、オーストラリアがコアラとカンガルーだけの国じゃないことを知らしめるいい機会になった。先住民アボリジニを中心に据え、オーストラリア固有の文化を強調しながらも、多文化主義を盛りこんだプログラムは、若い移民国家の現状を見事に表現しており、国内はもとより世界へ向けての力強いメッセージが感じられた。アボリジニの現役陸上選手キャシー・フリーマンが聖火台へ点火したことは、この国にとって想像以上に意味深いことなのだ。式典が大幅に時間オーバーとなったのも、オージーらしいご愛嬌!?
翌日さっそく観戦に出かけた会場では、どこも目立った混乱はなく、心配された電車やバスの運行もかなりスムーズ。ブルドーザーが地面をならしていたころから、取材やプライベートで何度も足を運んで見守ってきた会場の変遷ぶりを思うと感慨深いものがある。日本人が出場する試合では日本からの応援団に加え、在住日本人の姿も多く見られた。特に柔道会場の日の丸の多さには驚かされたが、選手も心強かったに違いない。
市内6ヶ所に設けられた巨大スクリーンでは、一日中オリンピック会場からライブの映像が流されているほか、各地でコンサートなどのイヴェントも行われ、夜遅くまで街は活気に溢れている。オーストラリアに暮らす者のひいき目かもしれないが、オリンピックは今のところ予想以上に順調に進んでおり、シドニーは、メチャクチャ盛り上がっている。一流選手だけでなく、世界各国からやってきた人すべてのエネルギーが、この街とここで暮らす人たちに及ぼす影響は計り知れない。
競技は10月1日まで、あと2週間続く。メダルの数ばかりが取り沙汰されているが、選手ひとりひとりが、4年間がんばってきた成果と実力を余すところなく発揮できる最高のオリンピックとなることを祈りたい。
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