■快適なエコハウスで環境にやさしい暮らしを実践
「電気と水を自給自足し、衛生的に下水とゴミの処理ができる設備を完備した家にしよう!」
シドニーに住む弁護士夫妻マイケルとヘザーは自宅を改築するにあたって、自然の恵みを最大限に享受する暮らしを計画した。太陽エネルギーと雨水を利用して4人家族の生活に必要な電気と水を賄うなんて、都会では夢物語と思われたが、彼らはねばり強く交渉をすすめ、工夫を凝らして見事に「グリーンハウス」を完成させたのだ。
屋根に取り付けられた数枚のソーラーパネルによって、毎年4トンの石炭が節約され、二酸化炭素排出量は8トン以上減った。幹線道路に近いという悪条件にもかかわらず、地下タンクに貯められた生活用水はシドニー工科大学による水質調査で太鼓判を押され、節水量は年間12万リットルにもなる。有機物のフィルターを通って処理された下水はトイレの水や洗濯用水として完全に再利用されているのだ。
「環境にやさしい暮らしは、快適なライフスタイルをあきらめることではない」とマイケルは語る。
この家は週に一度だけ建築や土木の知識を持たない「普通の人々」に失敗を含めた経験とノウハウを伝えるべく一般公開されている。1890年代に建てられた一見どこにでもあるテラスハウスは、個人が「地球のために何ができるか」を考えるモデルケースとなり、見学に訪れる人が後をたたない。
(JALグループ機内誌「ウインズ」00年8月号掲載)
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