■シドニーの顔、オーストラリアの顔
【2006年10月14日】
前回のブログで触れたアート・プロジェクト「ザ・フェイス・オブ・シドニー」では、ビルの壁に男性と女性の顔が「シドニーの顔」として大きく映し出されます。どこにでもいそうなフツウの顔で、まったく違和感はないのですが、実はこの2人は実在する人物ではありません。
このためにシドニーで撮影されたポートレート写真は、総勢3,500人分。多様なモザイク社会だけに、性別や年齢はもちろん、人種や民族もさまざまです。その中から、国勢調査の結果に基づいたシドニー地域の統計データを反映する1,400人に絞り込み、各個人のポートレートをコンピュータの専用プログラムで綿密に重ね合わせてモーフィングした合成画像がこの2人なのです。
リアルな実在する人物の画像とビジュアルにはなりにくい統計上の数字を使って、まさに平均的な「シドニーの顔」を創り出したわけです。ねっ、おもしろいでしょ!
地区別の顔もあり、先住民アボリジニが大勢住んでいるという印象を持つ人が多いレッドファーン地区が、隣り合う地域とそれほど変わらなかったり、チャイナタウンのあるヘイマーケット地区は、ちょっぴりながらもアジアの血が感じられる顔だったり……と、シドニーという街のアイデンティティを考えるにはうってつけです。
これは現在進行中の全豪写真プロジェクト「フェイシング・オーストラリア(Facing Australia)」の一環で、3人の写真家が2002年にアルバリーで始めて以来、これまでに約50の「○○の顔」が発表されているのだそうです。地域だけでなく、職業やアクティビティによる繋がりをとらえるために、「メルボルン・フットボール・クラブの顔」や「女性ボランティアの顔」」なんてのもあり、あぁそうそう!こんな感じだよね〜、と思わずナットクしちゃうような顔に仕上がって(?)いるので、ぜひご覧あれ。
2008年には、各州の3つの顔〜大都市、地方、遠隔地〜ができあがり、そこからいよいよ「オーストラリアの顔」が発表される予定です。はてさて、どんな顔になるのやら……。
(「地球の歩き方」オーストラリア・シドニー特派員ブログ掲載)
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