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ミュージカル『ボーイ・フロム・オズ』凱旋ツアー上演中
【2006年9月27日】

オーストラリア生まれのミュージカル『ボーイ・フロム・オズ』を見に行ってきました。主演はブロードウェイ版と同じヒュー・ジャックマン。この作品でトニー賞ミュージカル主演男優賞を受賞し、インペリアル・シアターの劇場興行収入記録を樹立したという彼のいわば「凱旋オーストラリア・ツアー」です。

ストーリーは、オーストラリアの小さな町テンターフィールド出身のシンガーソングライター、ピーター・アレンの波瀾万丈な生涯を描いたもの。「ヒュー・ジャックマン・ショー」と揶揄されながらも、ブロードウェイ版では、ゲイやエイズといった人生の陰の要素にも焦点があてられていたそうですが、オーストラリア版は「Don't Cry Out Loud」「I Still Call Australia Home」など、ぎゅっと凝縮したエモーショナルなシーンはあるものの、一言でいえば「ザッツ・エンターテイメント」。シドニー公演の舞台となったエンターテイメント・センターをはじめ、全都市アリーナ会場での上演ということもあり、のっけからド派手なスパンコール衣装に身を包んだヒュー・ジャックマンが、頭上からスルスル降りてくる白いグランドピアノに乗って登場し、華やかで底抜けに陽気なショーが開幕します。

印象的だったのは、ヒュー・ジャックマンがとびきりリラックスして故郷シドニーの舞台を心底楽しんでいたこと。観客に語りかけるシーンでは、演じているピーター・アレン役ではなく、しばしば“素のヒュー”が顔を出したのも、地元公演ならではのご愛嬌。この夜はオージーがこよなく愛するラグビーリーグとオージールールズの決勝トーナメント戦が佳境に入っていたため、イヤホンを通して伝えられる情報を元に茶目っ気たっぷりにその得点状況を中継し、地元チームのユニフォーム姿に着替えて会場を大いに沸かせる場面もありました。

舞台上にずらりと並んだロケッツが華麗なるラインダンスを披露したり、巨大なオーストラリア国旗が観客の頭上をすっぽり覆ったり……と広いアリーナ会場ならではの演出もたっぷり。ほぼ出ずっぱりのヒュー・ジャックマンがエネルギッシュに、セクシーに、チャーミングに歌い踊るようすは、舞台左右に設置された大スクリーンに大写しになり、評判のステージでの生着替えシーンでは下着がちらり、な〜んてことも。

ステージから客席に何度も降りてはおしゃべりを楽しみ、「撮影禁止ってアナウンス聞いてなかったの?」と言いながら肩に手を回して一緒に写真を撮ったり、最前列で踊り出した70代(いや、もしかしたら80代?)のおばあちゃんのほっぺにチュッとしたり、2階席まで出向いたりしつつ、合間には、オーストラリア・ネタのジョークを連発。歌もダンスもとことん素晴らしい超一流のエンターテイナーなのに、気さくでさわやかな隣の兄ちゃん的なミスター・ナイス・ガイぶりをさらっと発揮して、満員の観客を魅了していました。いやはや恐るべしヒュー・ジャックマン! 

The Boy From Ozオフィシャルサイト
Not The Boy Next Door
 ↑トニー賞のステージで歌い踊りヒップシェイクするヒュー・ジャックマンの動画が見られます

(「地球の歩き方」オーストラリア・シドニー特派員ブログ掲載)
 
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