■オーストラリアに食べ物は持ち込めるか?
最近パッケージツアーでオーストラリア観光に来た知り合いの話では、飛行機の中で添乗員が、「オーストラリアは検疫が厳しいので、食べ物は一切持ち込めません」と言ったという。持ち込んだ場合は高額な罰金がかかると言われて、キャンディーを含めてすべての食品を機内に置いてきたらしいのだ。
ちまたではいろいろなウワサが飛び交い、「旅のQ&Aコーナー」でも、ときどき話題になっているようなので、今回は検疫について取り上げてみたいと思う。
まず、オーストラリアの検疫が厳しいのは事実。最近はヨーロッパで深刻な問題となっている口蹄疫の影響もあり、さらにチェックが強化されている。ただし、「食品が一切持ち込めない」というのは大ウソである。罰金を払わないといけないのは、「検疫の対象となるものを申告しなかった」つまり、黙ってもしくは、隠して持ち込もうとした場合で、最悪の場合には起訴されることもある。
オーストラリアでは通常のX線検査に加え、検疫物探知犬を使って、リスクの高いものの侵入を防いでいる。このかわいいビーグル犬は荷物を受け取るコンベアのあたりにおり、恐るべき嗅覚で、肉類や果物の匂いを探知する。近くに寄ってきたら、おとなしく(?)荷物を床に下ろして調べてもらおう。
申告したものは、検疫官に見せるだけですむことも多い。もし、安全にするために何らかの処理(受け取るまでに数日から数週間かかることもある)を行う必要がある場合には、それにかかる費用を支払うか、放棄するか、送料を負担して他国に送付することができる。
「黙って持ちこんでもダイジョブだったよ」という人もいるだろうけど、検疫の目的は「動植物や、人々の健康、環境に影響を及ぼす他国の害虫や病原体の侵入を防ぐ」ため。多少、時間を取られることには目をつぶって、正直な申告で協力してほしい。
●持ち込んではいけないものの一例
乳製品、卵、卵製品
動植物
肉及び肉製品
種やナッツ(商品としてパックに入った種や、ローストされているものだと申告すれば一部持ち込めるものあり)
生の果物や野菜
など
●申告が必要なものの一例
未調理、調理済みに関わらずすべての食料品(ドライフルーツ、ハーブ、スパイス、菓子類なども含む)
動物、植物を使った製品
竹、藤、蔓製のバスケットやマット
木製品
スポーツ、キャンプ用品
など
*長期滞在者もうっかり荷物に入れてしまうものに、乾燥卵や肉片の入った麺類や炒飯の素などがある。日本人が持ち込むことの多い食品リスト(PDFファイル)を出発前にチェックしておくとよい。
(「地球の歩き方」ホームページ・シドニー特派員レポート掲載)
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