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サーカス・オズがやってきた
【2003年1月17日】

シティと空港のちょうど中間あたりに位置するムア・パークの一角に白い大きなテントが張られている。ヴィクトリア州を本拠地とするサーカス・オズ(Circus OZ)が恒例のシドニー公演を行っているのだ。

Circus OZ サーカス・オズは、空中サーカスや道化を中心に活動していた伝統的サーカスと、演劇出身者が中心となって運営していた現代風サーカスの2つのグループが合体してできたサーカス団。華やなスターはひとりもいないかわりに、出演者は全員マルチタレントで、アクロバットや空中ブランコ、ジャグリングなどさまざまな曲芸を次々とこなしていく。出番の合間には舞台準備・装備担当を務め、アクターやコメディアンを演じ、さらにはファンキーな生バンドの一員として楽器を巧みに操る多才ぶり。終了時には、難民救援活動を行うNGOのための募金用バケツを持って、出口で観客を送り出しもする。

オズの独特なスタイルは「コンテンポラリー・サーカス」と呼ばれ、結成後25年を経た今でも演劇的要素が色濃く出ているのが特徴だ。おしゃべりで下ネタが得意という変テコな金属製の犬エリックを除いては、動物は一切出てこないし、トークやセリフも多く、風刺をきかせたオージーらしいユーモアが、随所に散りばめられている。

「ベタベタな笑えるサーカス」なのだが、社会や政治を揶揄して終わりではなく、笑いでカムフラージュしながら、この国の抱える問題に対してさらりと疑問を投げかけもする。子どもが曲芸を見て楽しめるのはもちろんだが、大人は笑いの渦に巻き込まれながらも、ちょっぴり考えさせられる仕掛けになっているというわけだ。

実はこのサーカス・オズ、国内各地をくまなく巡業しているだけでなく、海外にもしばしば出かけている。今年はシドニーの後、4月にリオデジャネイロ、サンパウロで公演を行う予定だ。国内でしかウケなさそうな気もするのだが、ニューヨークやロンドンでも、結構評判がよかったらしい。きっと海外興行の際には現地の旬ネタを取り入れて、フツウのサーカスを期待してやってくる観客を大いに笑わせているに違いない。
 

(「地球の歩き方」ホームページ・シドニー特派員レポート掲載)
●Circus OZ 'Under the Big Top'
期間: 2003年2月2日(日)までの水〜日曜
場所: Moore Park
料金: 大人$47、子供$25、ファミリー$119
予約: Ticketmaster 7
 
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