■オージー五輪メダリストの月桂冠の行方
【2004年8月25日】
アテネ・オリンピックもいよいよ後半戦に突入! オーストラリア代表は多岐に渡る種目のメダル争いに絡んでいることもあって、大いに盛り上がっている。シドニー・オリンピックでは金16個を含む合計58個のメダルを獲得したスポーツ大国オーストラリア。今回は、日程の約3分の2を消化したところで、金14個をはじめ合計37個のメダルが確定している(※8月24日現在)。金メダルを期待されてきっちり結果を出しちゃうイアン・ソープのようなスーパー・ヒーローから、大舞台で実力以上の力を発揮しちゃう無名のアスリートまで、十人十色の筋書きのない感動のドラマに魅了される人続出の模様……。
深夜に表彰式のシーンを見ながら、どうも気になることがある。「あの月桂冠は果たしてオーストラリアに持ち込めるのか?」という素朴な疑問だ。この国の検疫が厳しいことはみなさんもご存知の通り。つい先日も、ベトナム帰りのシドニー在住者が、球根や土のついたままの植物を持ち込もうとして$7,846の罰金、その少し前にはレモンを持ち込んだブリスベン在住者が$7,700の罰金を科せられたばかりだ。凱旋帰国の際に、金メダリストが月桂冠のせいで検疫法違反……なんてちょっといただけない。
きっとほかにも気になる人がいたのだろう。メダル・ラッシュが続いた後、AQIS(オーストラリア検疫サービス)が談話を発表した。結論からいえば、メダリストが月桂冠を持ちかえるのはOK! ただし、申告をして検疫官に一旦手渡す必要がある。そこから、殺菌消毒の専門会社に送られ、照射殺菌、燻蒸消毒などの処理が施されるという。目的は2つ。原木の繁殖の可能性を阻止すること、それから、付着する菌類やウイルス、バクテリア、寄生虫などを死滅させることだ。AQISによると、殺菌消毒はオーストラリアの標準的な検疫手段のひとつ。メダリストたちの手に月桂冠が戻るまでには24時間程度かかると見られている。
AQISの職員数は過去3年で倍になり、予算は10年前の4,000万ドルから5億ドルへと大幅アップ。オーストラリアの豊かな自然環境や動植物、農作物、人々の健康などに悪影響を及ぼす可能性を水際で食い止める役割を担っているのが彼らだ。世界一のアスリートといえど特別扱いはしないらしい。
【関連】オーストラリアの検疫最新事情
(「地球の歩き方」ホームページ・シドニー特派員レポート掲載)
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