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日本語にできない!?観光PRキャンペーン
【2006年4月11日】

オーストラリア政府観光局(Tourism Australia)が世界的に展開している『オージー・インヴィテーション・キャンペーン』が日本でもスタートしました。美しい大自然とフレンドリーな人々の笑顔を盛り込んだCMの最後に登場する共通のキャッチフレーズ「So where the bloody hell are you?」が各国で物議をかもしているため、きっとすでにご存知の方もいらっしゃるでしょう。

イギリスではBACC(放送広告認可センター)が使用規制している単語の中に「Bloody」があり、一時放送禁止。カナダでは「Hell」がひっかかって、一部ファミリー向け番組の時間帯の放映に規制がかかると共に、ビールグラスを掲げる冒頭のパブのシーンも差し替えに。

総額1億8,000万ドルの予算を投じた大がかりなキャンペーンだけに、国内でも賛否は分かれたものの、各国のマスコミが騒ぎ立てたことで、口コミ(=バズ)誘発のバズ・マーケティングとしては大成功。イギリスの新聞に放送禁止になったことが報道されると、サイトへのアクセス数は激増したそうです。騒動は、ウェブ上のフリー百科事典『ウィキペディア』(英語版)にも登場しました。

そんなわけで、撤回を働きかけて放映再開にこぎつけたベイリー観光大臣は、「Bloody good result!(すごくいい結果!)」と意気揚々。訪豪中の英国のブレア首相が、多忙なスケジュールに言及して、「So where the bloody hell am I?(一体わたしはどこにいるんでしょう?)」と笑わせたかと思えば、対するハワード首相は幼少時代にオーストラリアに住んでいたブレア首相に、「Where in the hell have you been?(一体どこに行っていたんですか?)」と歓迎の意を示しました。

問題のフレーズには、「こんなに素敵なところでいろいろ準備して待っているのに、一体全体どこにいるのよ? 早くこっちにおいでよ」ってな感じのパーソナルで親しみのあるニュアンスが込められているのですが、4月22日から日本のテレビで放映される予定の日本語ヴァージョンのCMでは、「で、何でオーストラリアへ来ないの?」となっています。

これを逆に英訳すると、「So? Why don't you come?」。結局日本語には翻訳不可能だったと新聞記事に書かれていましたが、その題名が、「Too bloody hard to teach Japan to swear(日本にののしり言葉を教えるのはめちゃくちゃ難しい)」。何しろスーパーのレジ係が買い物客一人ひとりにお辞儀をするような礼儀正しい国なんだから……というのが妙に笑えました。

(「地球の歩き方」オーストラリア・シドニー特派員ブログ掲載)
 
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