■シドニー〜関空間ジェットスター搭乗記(3)
【2007年6月2日】
(←前回から続く)
今回の一時帰国にあたっては、「ジェットスター、どう?」とあちこちで聞かれました。就航後しばらくの間は、「定刻出発は稀」とウワサされ、空港スタッフや客室乗務員が不案内だったとか、予約されているはずのサービスが付いてなかった……といった声も耳にしましたが、わたしが利用したときは特に問題はなく、率直な感想としては、「こんなもんでしょ」という感じ。
そもそもジェットスターのようなLCC(ロー・コスト・キャリア)=格安航空会社は、その名の通り低コストビジネスモデルが大前提です。オンライン予約や単一機材の使用、折り返し時間の短縮などで生産性アップを目指す一方で、サービスを省略、もしくは簡素化・有料販売化し、コストを削減することによって成り立っているわけなので、従来とは違っていて当たり前。サービス面に力を入れている既存の大手航空会社と比較して、あーだこーだいうことはまったく的外れな話なのです。
ごく最近まで、「乗客全員が必ずしも必要としていないサービス」も航空券料金に含まれていたと考えれば、「必要な人が必要なオプションを必要なだけ選択する」システムは、理にかなっていて公平といえるのかもしれません。まさに、英語でいうところの"What you pay is what you get."ですね。
一方で、最安チケットでも購入時に座席指定ができたり、変更手数料を払えば、搭乗者名や日付の変更が可能だったり、フレキシブルな利点もあります。
つくづく、飛行機の旅がスペシャルだったのは、もう昔の話なのだなあ、と思います。誰もが利用できるようになった今となっては、長距離列車やバスと同じように移動手段のひとつに過ぎず、「サービスなんてなくてもいいから少しでも安い方がいい」「短距離なら、座席さえあればかまわない」といった需要に応える選択があってもフシギではありません。
そんな合理的なやり方が、果たして日本人に受け入れられるかどうか……はともかく、世界各地でLCCが大手航空会社を凌駕しつつあるのは紛れもない事実。ジェットスター上陸を皮切りに、日本市場にも欧米やアジア各国のLCCが続々と参入するであろうことは明らかです。
ジェットスターに乗ったら何にでもお金を取られた、とボヤく声もありますが、新幹線でカートが回ってきたときに、お弁当や飲み物をタダでもらえると思っている人は、まずいないはず。飛行機に乗れば機内サービスがあって当然という常識も、時代と共に変わっていくのではないでしょうか。
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(「地球の歩き方」オーストラリア・シドニー特派員ブログ掲載)
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