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シドニーの街角にはためくバナーの第二の人生
【2008年8月13日】

シドニーの街中や郊外に続く主要道路沿いには、数メートル間隔でバナー(のぼり旗)が立ち並んでいます。各バナーの大きさは、縦4.5メートルx横1.5メートルで、その数1,600個。毎日60万人が目にしているといわれています。


その気がなくても目に映るシンプルで見やすいバナー

コレ、一応広告です。が、景観を害する「激安!」のようなウルサイ類のものは一切なし。イヴェントや祭典、観光または市民プログラムなどの文化芸術活動のPRが対象で、商品やサービスの宣伝には使えないだけでなく、スポンサー名やロゴのサイズも全体の面積の10%以下と決められています。街景のアクセントとして目に映りながらも、街並みに溶け込んでいるのは、視覚的に景観をよりよくするデザイン、といったガイドラインがちゃんと守られているから。

色数やデザインにもよりますが、3色を使ったバナーを100個作った場合の目安の制作料金は、1万豪ドル(約100万円)ほどなのだそう。スペースは、1週間単位で最少40本分から借りることができます。シドニー市主催のイヴェントなどのバナーは、毎年同じものが繰り返しが使われることも少なくありませんが、カラフルなバナーを1回きりで終わりにしてしまうのは、ちょっぴりもったいない気もしますよね。

このバナースペースを貸し出しているのは、廃棄物や無駄を減らした循環型社会を目指してゼロ・ウエスト・キャンペーン(Zero Waste)を繰り広げているシドニー市。……というわけで、この度リユースされない使用後のバナーは裁断された後、ストラップ付きのキャリーバッグとして生まれ変わって、第二の人生を送ることになりました。

その第一弾が、8月17日にキャンパーダウンのヴィクトリアパークで行われる環境イヴェント“Live Green”で、無料配布されます。すべてのバッグは手縫いで、タグには日付けと共に、“I used to be a City of Sydney banner”と書かれているのだそうです。直訳すると、「わたしは以前はシドニー市のバナーでした」! 「シドニー市のバナーから再生されました」という感じでしょうか。

(「地球の歩き方」オーストラリア・シドニー特派員ブログ掲載)
 
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